京都、暑い夏と独り旅

2005 Mon Aug 22 その一、魔界都市で迷う

 午前十一時。
 荷物が重い。なんとかしよう。
 改札を出て、まず頭に浮かんだのはそれだった。
 駅構内、正面に置かれたコインロッカーは全てが使われていた。値段をチェック。
 小、300円。大、600円。正直高い気がする。俺が地元の本屋で目にするコインロッカーの料金はせいぜい百円だ。旅行者の足元を見ているのではと、勘ぐる。
 朝の天気予報では、低気圧、名古屋直撃みたいなことを言っていたので京都もやばいんじゃないかと思っていたが、思いっきり晴れている。傘が邪魔。しかし傘をコインロッカーに入れる為には、小では入りきれないため、大を使用しなければいけない。
 600円。
 正直、痛い。
 問題を解決するのを放棄し、とりあえず本屋へ。地下に三省堂があるようだ。
 これっぽちも京都の勉強していないので、というか京都ガイドブックは京都で、と最初ッから考えていたので、マニアックなガイド本を探す。探すが、見つからない。いや、あるにはあるが、方向性が違う。美味しい料理店とか地元の人が推薦する観光地なんて、ぶっちゃけどうでも良い。俺が欲しいのは、『京都の祟り大全集』だとか『あなたの知らない千年都市、京都』とか、『裏京都に憎悪の歴史あり』とか、そういう方向の本である。一冊だけ『京都の地名の由来』という新書があったが内容が薄っぺらいのでスルー。諦めて結局、『京の町家小路散歩』という本を購入。
 腹減った。ちょうど昼前、混む少し前だろうとその辺のファストフード店か喫茶店で昼食を食べながらガイド本を読もうと思う。
 京都の名物なんて、興味ないですし。腹が膨れれば良い。そう思い、京都駅から南へ出た。そちらの方が繁華街だった。
 暑い。とりあえずバスターミナルの横を歩く。空いているコインロッカー発見。飯食ったら使おうと位置を覚えておく。
 暑い。道路に出て辺りを見渡しても、それらしい看板が見当たらず、暑い、信号を渡り、やはり見当たらず、暑い。地下への入り口があったので階段を下りて避難。
 地下へ降りるとやがて一本道の地下道。ずーっと歩かされる。『I LOVE KYOTO』というサブリミナル効果が現れ始めた頃、ようやく行き止まり、地上に出ると、七条通。いつのまにか京都駅の北側に立っていた。
 おそるべし。おそるべし、京都。魔界都市、京都。これが千年の怨念か、と自分を誤魔化す。
 西か東か北へ。北には寺しかない(後で調べると、東本願寺のようだった)。東か西のどちらかだが、なんとなく西へ向かう。途中で喫茶店くらい腐るくらいあるだろうと思って。
 十分歩く。ない。
 喫茶店がない。
 ラーメン屋やうどん屋はあるものの、普通の喫茶店がない。このくそ暑いのに、アツアツの麺が食えるか、と思っていたのでスルー。よくよくあとで考えるとうどん屋ならば、冷麺くらいあってもおかしくないとは思うが後知恵。
 西へ歩く歩く。大きな通りに出る。一号線だ(南北に走っていることに少し感動する)。通りの向こうに大きな寺(これも後で調べると西本願寺)。これ以上西に進む気力が萎え、北か南。北へ進んで本当に何もなかったら、倒れ死にしてもおかしくないと本気で思ったので、最悪京都駅まで戻るつもりで南へ(もうこの時、コインロッカーなんて頭の片隅にもなかった)。
 どこにでもありそうな、一号線沿いのトラック運ちゃん御用達のようなありきたりの喫茶店がようやく見つかる。何も考えずに入る。メニューはやはりラーメンかうどんがメインだった。しかし、今更頼む気もせず、紅茶が付いてくるカレーを選択。
 アイスティーだと別料金だと言われ、ホットティー。カレーも辛く、それほど美味しくなく、結局汗をかく羽目に。
 920円。
 名物食ってりゃ良かったかもしれないと思った価格だった。空いていたので、しばらく食後のホットティーを飲みながらガイドブックを読む。
 まだ十二時前のこと。

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